花店利用者調査~5.スクリーニング調査から、ホームユース許容価格帯、エコな花のイメージ Flower shop customer survey 2022 Japan: Excerpt 5 Willingness to Pay for homeuse cut flowers, images associated with “environmentally friendly flowers (Screening)
Published:
「花店利用者調査 2022年版」から。解説の最終回は、スクリーニング調査の項目の一部を紹介する。ホームユースの切り花の許容価格(支払意思額)と、環境にやさしい花・植物のイメージについて。
まず、自宅用切り花の1回当たりの価格として、最多価格帯は250~500円(28%)、平均許容額は862円。世帯年収200万円未満~1000万円未満までは、年収が増えてもほぼ同水準で、大多数の世帯において、所得の上昇に対応した支払意思額の増加傾向は観察されない。2000万円以上では、3割が4000~5000円程度までなら許容。企業・業態別では日比谷花壇利用者が最も高く1,238円。量販では低く、スーパーは613円、ホームセンターは601円。
「環境や人にやさしい」花や植物のイメージとして、最もエコ連想に結び付きやすい要素は、「旬の花・植物」だった(28%)。次いで「オーガニック・自然栽培」24%、「地産地消」23%。旬の花・植物は、日本の風土や季節、文化に根差し、負荷の少ないものとして自然に受け入れられやすいようである。 特に日比谷花壇、花専門店、複合店の顧客では、「旬」がトップで、4割超。一方、スーパーの利用者の場合は、「過剰包装なし」や「プラスチック不使用」が上位を占めた。属性別では、女性30代以上では「旬」。女性では、「過剰包装なし」という形でも、エコを訴求できるかもしれない。男性や20代女性の間では、エコはまず、「オーガニック」を想起させるようである。
5. スクリーニング調査から:切花許容価格と環境にやさしい花のイメージ
(1) スクリーニング調査
花店利用者調査の回答協力者抽出(スクリーニング)のため、ネットユーザー30000人に、各企業・業態の利用経験を尋ねた。この事前調査の中から、ホームユースの切花の許容価格、および環境に優しい「花」「植物」のイメージについての調査結果を紹介したい。
スクリーニングでは利用経験のない人も含まれるので、ここでは、本調査に回答してもらった1005人に絞って集計している。
<実施概要、回答者属性>
・2022年1月31日(月)~2月2日(水)実施。
・20~50代男女インターネット利用者30,000人対象。
・花小売の9企業・業態 いずれも、花小売・売場について質問。
・マクロミルに委託し、花店9社・業態の「最近1年以内」の利用者をランダム抽出し、回答依頼した。なお、本調査では、企業・業態ごとに、「最近1年以内に利用した」ことを再度各人に表示しながら、回答してもらった。データ・クリーニング後、各100票程度の回答を採用した。
(2) ホームユース切り花の許容価格
➀平均許容額
ホームユースの切花について、購入を考慮する額(許容額、支払意思額(WTP=Willingness to Pay))を尋ねた。250円以下から5000円までの12段階と「この用途では買わない」の13の選択肢から一つを選んで回答してもらった。
本調査の回答者1005名を対象に集計したところ、最多価格帯は250~500円(28%)、平均許容額は862円となった。
平均許容額は、選択肢の金額帯の中央の値を階級値として計算している(小数点以下切り捨て)。たとえば、「~500円」の選択肢では、その直前の選択肢(~250円)の上限値を超えた額である250円と500円の中間の値を取り、「375円」を階級値とする。「250円以下」は125円、「5000円以上」は5500円とした。平均金額は、階級値×該当者数を合計し、総額を「n-「この用途では買わない」人の数」で割って算出した。
図表 ホームユース切り花 支払意思額 金額帯(全体 n=1005)
➁世帯年収別 支払意思額
年収別にみると、世帯年収200万円未満~1000万円未満までは、年収が増えても、購入許容額はそれほど大きく増えてはいかない。各階級の平均許容額は、ほぼ同水準にとどまっている。
世帯年収2000万円以上になると、3割が、日常のホームユースの切り花について、4000~5000円程度までなら購入を考えてもよいと答えている。ただし、この階級の該当者は、本調査では13名と少ない。政府統計によると全体の1.2%程度にとどまる(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」、直近の2019年版)。
こうして、全体としてみれば、花への支払い意思額と所得の関係は、生活必需品と似た構造で、大多数の世帯において、所得の上昇に対応した増加傾向は観察されない。おそらく、支出の弾力性は低いのではないかと推測される。
なお、スクリーニングにおいて、いずれかの企業・業態で花や植物を過去に購入したことのある人(n=19598)の間では、平均許容額は705円となり、本調査対象者の平均額を下回った。
図表 世帯年収別 ホームユース切り花 支払意思額
世帯年収 | 回答者数 n | 支払意思額 平均 円 | |
---|---|---|---|
全 体 | 1005 | 862 | |
1 | 世帯年収200万円未満 | 77 | 763 |
2 | 200~400万円未満 | 146 | 741 |
3 | 400~600万円未満 | 195 | 833 |
4 | 600~800万円未満 | 160 | 834 |
5 | 800~1000万円未満 | 133 | 841 |
6 | 1000~1200万円未満 | 60 | 982 |
7 | 1200~1500万円未満 | 43 | 1,083 |
8 | 1500~2000万円未満 | 16 | 1,148 |
9 | 2000万円以上 | 13 | 2,298 |
10 | わからない | 161 | 785 |
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(スクリーニング)
➂企業・業態別 支払意思額
企業・業態別にホームユース切り花の平均許容額を計算すると、日比谷花壇が最も高く、1,238円だった。1000円を超えるのは、日比谷花壇と青フラだけで、スーパーでは613円、ホームセンターは601円と低めである。 。
図表 企業・業態別 ホームユース切り花 支払意思額
企業・業態 | 回答者数 n | 支払意思額 平均 円 | |
---|---|---|---|
全 体 | 1005 | 862 | |
1 | 日比谷花壇 | 103 | 1,238 |
2 | 青フラ | 110 | 1,035 |
3 | 花専門店 | 114 | 882 |
4 | イオン | 114 | 776 |
5 | スーパー | 115 | 613 |
6 | カインズ | 113 | 796 |
7 | ホームセンター | 110 | 601 |
8 | 通販、ネット | 114 | 774 |
9 | 花・植物とカフェなどの複合店 | 112 | 901 |
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(スクリーニング)
(3) 「環境にやさしい花・植物」のイメージ:「旬」と「オーガニック」
「環境や人にやさしい」花や植物というと、生活者は何を連想するだろうか。栽培方法から、ロスやプラスチック使用削減、生産者の応援消費まで、いくつかの観点を挙げて、イメージに近いものを選んでもらった(複数回答)。
最もエコの連想につながりやすいのは、「旬の花・植物」であることがわかった(28%)。旬の花・植物は、日本の風土や季節、文化に根差しており、負荷の少ないものとして自然に受け入れられやすいようである。
次いで「オーガニック・自然栽培」24%、「地産地消」23%がくる。なお、ここでは、表示上の定義や課題は考慮しない。
選択肢
1 減農薬・減化学肥料で栽培
2 オーガニックや自然栽培
3 旬の花・植物
4 国内で栽培
5 地産地消につながる花・植物
6 長距離輸送を避ける
7 化石エネルギーの使用の抑制
8 過剰包装をしない
9 プラスチック類を使わない
10 資材などのリサイクル
11 廃棄ロスを出さない生産・販売(規格外品活用など)
12 利用シーンに合った無駄のないサイズ
13 生産者の応援
14 スタッフが働きやすい環境
15 花・植物のパワーを生かした創造的な空間作り
16 その他
17 特にない
図表 環境や人にやさしい花・植物のイメージ
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(スクリーニング)
こうした連想には、店・業態により、違いがみられる。日比谷花壇、花専門店、複合店の顧客では、「旬」がトップで、4割を超える。スーパーの利用者の場合は、「過剰包装なし」や「プラスチック不使用」が上位を占めた。
性別年齢別にみると、女性30代以上では、「旬」がエコとの親和性が強い。特に50代女性では、ほぼ半数(48%)が旬を挙げている。また、女性では、「過剰包装なし」という形でも、エコを訴求できるかもしれない。
男性や20代女性の間では、エコはまず、「オーガニック」を想起させるようである。
図表 環境や人にやさしい花・植物のイメージ 企業・業態別
店・業態 | n | 1位 | % | 2位 | % | 3位 | % |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全 体 | 1005 | 旬 | 32.1 | オーガニック | 28.3 | 地産地消 | 27.7 |
日比谷花壇 | 103 | 旬 | 45.6 | 地産地消 | 43.7 | 減農薬 | 37.9 |
青フラ | 110 | オーガニック | 38.2 | 地産地消 | 34.5 | 国内栽培 | 33.6 |
花専門店 | 114 | 旬 | 47.4 | 地産地消 | 42.1 | オーガニック | 36.0 |
イオン | 114 | 過剰包装なし | 28.1 | 旬 | 26.3 | オーガニック | 26.3 |
スーパー | 115 | 過剰包装なし | 20.0 | 旬 | 20.0 | プラスチック不使用 | 17.4 |
カインズ | 113 | 旬 | 30.1 | 地産地消 | 23.9 | 国内栽培 | 22.1 |
ホームセンター | 110 | 旬 | 26.4 | オーガニック | 24.5 | 減農薬 | 23.6 |
通販、ネット | 114 | 地産地消 | 23.7 | オーガニック | 22.8 | 旬 | 21.9 |
複合店 | 112 | 旬 | 41.1 | オーガニック | 37.5 | 過剰包装なし | 29.5 |
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(スクリーニング)
図表 環境や人にやさしい花・植物のイメージ 性別年代別
性年齢 | n | 1位 | % | 2位 | % | 3位 | % |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全 体 | 1005 | 旬 | 32.1 | オーガニック | 28.3 | 地産地消 | 27.7 |
男性20代 | 113 | 地産地消 | 34.5 | オーガニック | 30.1 | 国産 | 26.5 |
男性30代 | 120 | オーガニック | 32.5 | 旬 | 29.2 | 減農薬 | 25.8 |
男性40代 | 113 | オーガニック | 29.2 | 旬 | 24.8 | 地産地消 | 21.2 |
男性50代 | 120 | 旬 | 25.0 | 地産地消 | 21.7 | 国産 | 21.7 |
女性20代 | 132 | オーガニック | 30.3 | 旬 | 25.0 | 地産地消 | 22.7 |
女性30代 | 113 | 旬 | 36.3 | 減農薬 | 31.0 | 過剰包装なし | 30.1 |
女性40代 | 142 | 旬 | 39.4 | 地産地消 | 36.6 | 過剰包装なし | 34.5 |
女性50代 | 152 | 旬 | 48.0 | 過剰包装なし | 34.9 | 地産地消 | 31.6 |
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(スクリーニング)
調査の概要
・日時:2022年1月31日(月)~2月2日(水)
・調査方法:インターネット・アンケート(マクロミル)
・対象企業・業態:花専門店、量販、ネット通販、複合店
・回答者:花・植物を扱う店で、過去1年に購入した人 1005名(本調査)
・主な調査項目:利用状況、顧客満足関連指標、サービス品質項目評価、よい点、改善してほしい点
・農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施(令和3年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。
・企画・調査設計・分析および報告:ゲルダ・リサーチ 青木恭子
花店利用者調査2022年_本文リンク_Link_full text
https://www.researchgate.net/profile/Kyoko-Aoki/research
対象企業・業態 回答者数
企業・業態 | 回答者数 n | 構成比 % | 男:女 % | 平均年齢 | |
---|---|---|---|---|---|
全 体 | 1005 | 100.0% | 46:54 | 40.3 | |
1 | 日比谷花壇 | 103 | 10.2% | 47:53 | 37.8 |
2 | 青フラ | 110 | 10.9% | 36:64 | 35.1 |
3 | 花専門店 | 114 | 11.3% | 39:61 | 41.4 |
4 | イオン | 114 | 11.3% | 51:49 | 40.3 |
5 | スーパー | 115 | 11.4% | 50:50 | 42.0 |
6 | カインズ | 113 | 11.2% | 56:44 | 40.5 |
7 | ホームセンター | 110 | 10.9% | 59:41 | 41.7 |
8 | 通販、ネット | 114 | 11.3% | 49:51 | 42.6 |
9 | 花・植物とカフェなどの複合店 | 112 | 11.1% | 31:69 | 40.4 |
引用について
引用は、基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。(以下、引用例をいくつか挙げますが、この通りでなくても結構です)
・出典:国産花き生産流通強化推進協議会「花店利用者調査 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
・出典:青木恭子(2022)「花店利用者調査」国産花き生産流通強化推進協議会
・Source: Aoki, Kyoko (2022) Flower shop customer survey 2022: Purchasing behaviour and customer evaluations by business category. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. https://www.researchgate.net/profile/Kyoko-Aoki/research