花の消費動向2022年~花き消費、日持ち保証販売、環境対応、認証 Trends in flower consumption: Purchase, vase life, environmental awareness and sustainable certifications

1 minute read

Published:


花の消費動向と環境意識に関する継続調査の2022年版データ。
最近1年の花の購入率(2022年)は直近1年の花の購入率は34.5%、前年(45.6%)比11.1ポイント減(補正後10ポイント減)。植物の購入率は21.3%で、前年(29.6%)比8.3ポイント減(補正後8ポイント減)。
購入者のうち、プレゼント用は59%、ホームユースは46%。購入日は、母の日が過半数で56%。次いで正月18%。30代男性では「いい夫婦の日」の購入者が7%。20代・40代男性ではバレンタインデー購入率4%。購入経路は花店が主流で73%。ネットは前年の8%から15%へ、花とカフェや雑貨などの複合店は2.5%から6%へ。
花を定期的に購入する人は漸減傾向にあり、自家用で29%。なかなか継続購入の習慣は定着しない。価格帯は、物価上昇を受けてか、最多価格帯が一段階上がり、ギフト用3000~5000円未満36%(2021年はギフト1500~3000円程度(37%)が最多)。
花や植物に関する情報源として、花店店頭は最大の発信源であることがわかった。店頭は、花・植物の購入未経験/最近購入していない人向けにも大切なメディアだと言える。
調査は、農林水産省の資金により、国産花き生産流通強化推進協議会が実施した(令和3年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。なお、2022年は調査会社を従来のマクロミルからインテージに変更。年齢は20~50代で従来通りだが、、男女比は調査開始時以来4:6だったのを、人口構成に近い5:5に改めた。回答品質管理等が異なるため、時系列データ(特に購入率)は、参考値としている。文末の注釈参照。
課題は次のブログにまとめてある(内容は大きく3点:休眠ユーザー(今年買わなかった)が過半数に迫る状況、日持ち保証販売経験者のリピート意向の低さ、認証の低認知率・重視度の低下傾向)。
In the year under review (2022) , the flower purchase rate (600 respondents in their 20s to 50s) stood at 34.5%.
This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.

引用について

基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。引用時は出典を記載
(引用例)出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
花の消費動向 2022年_本文リンク_Full text ___

1 概要

(1) 概要

花の消費動向と環境意識について、毎年継続調査。現在は農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施。主要な設問の枠組みと2016年以前のデータについては、MPSジャパンから提供を受けた。
調査設計、分析、報告:青木恭子

(2) 実施方法

日時:2022年8月2日(火)~8月5日(金)
調査方法:インターネット・アンケート(インテージのモニター対象)
回答者:日本国内の20~50代男女、全600名

(3) 設問項目

基本的に継続項目で時系列データを蓄積。要約では主要部分のみ掲載。

● 花、植物の購入(継続)
今年1年の花および植物の購入率、購入用途、経路、金額、頻度、購入する日や場面、重視点、購入内容
● 日持ち保証販売(継続)
家庭での花の管理状況、日持ち保証販売の認知率、利用率、利用意向
● 表示、認証、環境対応(継続)
表示の重視点、環境ラベルの認知率・購入率、国産志向、栽培情報重視度 ● コロナ禍後の花・植物体験(自由回答)




2 花、植物の購入

(1) 購入率

直近1年の花の購入率は34.5%、前年(45.6%)比11.1ポイント減(補正後10ポイント減)。前年との比較については、このページ末の注釈参照。


図表 最近1年間の花の購入

花購入率_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



植物の購入率は21.3%で、前年(29.6%)比8.3ポイント減(補正後8ポイント減)。

図表 最近1年間の植物の購入

植物購入率_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(2) 購入用途

花の購入用途は、プレゼント用59%(全体にならすと21%)、ホームユースは46%(全体では16%)。

図表 用途別 購入率(複数回答、n=207)

花購入用途n207_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供



(3) 購入経路

購入経路は花店73%(2021年76%)。スーパー33%(31%)、ホームセンター26%(21%)、ネットは8%から15%へ。花・植物と雑貨やカフェなどとの複合店も、2.5%から6%と健闘した。

(4) 購入頻度

定期的購入者は漸減傾向で、自家用で29%。なかなか継続的に購入する習慣をもってもらうまでにはいたらず、「今年1年測っていない」人が増える結果になっている。


図表 購入頻度 最近1年および過去の花購入経験者(n=490)
花購入頻度n490_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(5) 購入する「日」

購入者が花を買う日は、母の日が56%で過半数。次いで正月18%。
性年齢別では、30代男性で「いい夫婦の日」7%。20代・40代男性で「バレンタインデー」各4%ずつ。

図表 購入する「日」 最近1年間の花購入者 (複数回答、n=207)
花購入日n207_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(6) 価格帯

最近1年間の花購入者における購入価格帯は、自宅用は500~1000円未満が30 %で最多。ギフト用では、3000~5000円未満(36%)が最も多い。2021年には、1500~3000円程度(37%)が最多だったが、価格帯が一段階上がった。花のサブスクリプションは普及していないため、ほとんどの人が想定で回答しており、半数以上(62%)が500円以下と答えた。


図表 価格帯 最近1年間の花購入者 (複数回答、n=207)
花購入価格帯n207_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


今年一年以内あるいは今までに花を買っていない人たち(非購入者)では、(想定)価格帯が低めである。非購入者には、想定で購入価格を答えてもらっているが、それでもやはり、「500円以下」のような低価格の回答は少なくなり、1500~3000円程度の価格の選択率が膨らんだ(自宅用、プレゼント用とも)。


 

(7) 花・植物に関する情報源

店頭は最大の花植物情報の発信源である。店頭は、購入未経験/最近購入していない人向けにも、普段の情報源として、また花や植物への接点となるメディアとして、大切な役割を担っている。

図表 花に関する情報源 (複数回答、n=600)
花情報源_ふだん_購入経験別_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



図表 植物に関する情報源 (複数回答、n=600)
植物情報源_ふだん_購入経験別_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)




3 日持ち保証販売

(1) 家庭での花の管理

水替えは50%が実施(2021年54%)、鮮度保持剤使用は11%(同10%)。

(2) 日持ち保証販売の認知率、利用率、利用意向

「日持ち保証販売」認知率は17%(20%)、利用経験率10%(7%)。利用意向27% (35%)。

図表 日持ち保証販売 認知率と利用経験率
日持ち保証販売_認知率経験率_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



図表 日持ち保証販売 利用意向
日持ち保証販売_利用意向_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)




4. 表示、認証、環境対応

(1) 環境ラベルの認知率・購入率

花のラベルの購入率は、MPS 0.7%、リレーフレッシュネス0.3%。ずっとこの水準にとどまっている。SDGs認知率は64%で、3年間で4倍になった。

図表 環境ラベルの認知率と購入率
エコラベル認知率購入率_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



図表 環境ラベルの認知率 推移
エコラベル認知率_推移_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(2) 表示の重視点

花では、購入時に重視する表示について、全員に尋ねた。表示のないものは、あったと仮定して回答してもらった。 最多は、「品種」。
環境配慮や生産流通管理のような認証を重視する人は、少ない。認証は、消費者よりむしろ、取引の上で、取得されるケースもある。とはいえ、消費者や社会全体へのアピールを地道に行っていかなければ、生産者の認証取り組みへのモチベーションを下げてしまう恐れがある。

図表 花 重視する表示
花_重視する表示_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(3) 国産志向、栽培情報重視度


図表 国産志向 花、野菜(n=600)
国産志向_野菜、花_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


農薬や肥料使用量への関心は24%(野菜では43%)。栽培・輸送時のCO2排出については10%のみ。農薬使用量を知りたいという人は、2000年代後半には野菜では8割に上っていたが、今はその半分になっており隔世の感がある。花は、野菜ほど関心の変動は激しくない。これまで生物多様性については調べていないが、今後、追加してみてもいいかもしれない。

図表 栽培情報へのニーズ 推移(n=全数ベース)

栽培情報ニーズ推移_花_2010-2022


野菜
栽培情報ニーズ推移_野菜_2008-2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供




5. コロナ禍後の花・植物体験(自由回答)

コロナ禍後の、花・植物について、自由回答でつづってもらった。「癒す」「育てる」といった経験を持った人という人が多い。2022年度追加設問。主な言葉を、ワードクラウドで可視化した(「特になし」「わからない」は除く)。

図表 コロナ禍後の花・植物経験 ワードクラウド(n = 600)

コロナ禍後の花植物経験_ワードクラウド_2022

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花の消費動向 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)。




補足 調査会社および属性比率の変更と補正

2008年より毎年、マクロミルに委託し、毎年同社のモニターを対象に実査を行ってきたが、2022年に調査会社をインテージに変更した。サンプル数は500から600に増やし、懸案であった男女比(4:6)を改め、実際の比率に近い5:5にした。設問の順序やワーディング、選択肢は基本的に従来と同じで、画面デザインもできるだけ前年までのものに近づけている。
2022年は継続データの一部が大きく変動している。調査方法の変更によると考えられるのは、(1)女性は男性より花・植物の購入者が多い傾向があり、購入率関係の数値は押し下げられる。公式統計に準じて補正すると、前年の購入率は花44.5%、植物29.3%となり、それぞれ1.1%、0.3%下がる。(2)調査会社の品質管理体制の違い 影響は数値化できないが、モニターおよび回答品質について、各調査会社の管理基準が異なる。
2022年の値は、時系列比較が難しいため、参考値とする。来年度以降も継続の場合は、調査会社を変えるべきではない。属性に関しては、婚姻率は統計値に近似させることが望ましい。

___

引用例 以下は例、どれでも可。この通りでなくてもよい。

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)『花の消費動向 2022年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
出典:青木恭子(2022)『花の消費動向 2022年』国産花き生産流通強化推進協議会
Source: Aoki, Kyoko (2022) Flower Consumption in Japan 2022. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

本調査は、農林水産省の助成で実施された。
This research was fully funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan.
花の消費動向 2022年_本文リンク_Full text

免責事項 本報告書作成に当たっては、細心の注意を払って作業を行なっていますが、万一情報に誤りがあった場合でも、本団体及び著者は一切の責任を負いかねます。また、内容を読者がご利用あるいは引用されることにより、副次的に発生したトラブルや損失についても同様です。本サイトの内容は、予告なしに更新や削除されることがあります。ご了承ください。