花・植物の好み カラートーン、スタイル・質感・エモーション 花店園芸店利用者調査2025年から  Flower shop customer survey 2025 Excerpt 2 Sensory preferences of flower shop customers, color tones, styles, textures, and evoked emotions they favor

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「花店園芸店利用者調査」2025年版から。今回は、花や植物の好みの分析。花店の利用者が、どんなカラートーン(色調)、スタイル、質感および喚起されるエモーションを好んでいるか、感性の可視化を試みた。

From the ‘2025 Flower Shop & Garden Center User Survey’. Analysis of flower and plant preferences. This study attempts to visualize the sensory preferences of flower shop customers, examining what color tones, styles, textures, and evoked emotions they favor. The survey covered nine retailers: Hibiya Kadan, Aoyama Flower Market, specialty flower shops, AEON, supermarkets (excluding AEON), Cainz, home centers (excluding Cainz), Ozaki Flower Park (Nerima Ward, Tokyo), and garden centers (excluding Ozaki). The study targeted 518 respondents aged 20-59 residing in the Kanto region (the greater Tokyo area and surrounding prefectures) who had visited these retailers within the past year. Conducted in January 2025. For respondent demographics and other details, please refer to the survey overview at the bottom of the page.

解説書はこちら(集計表付)_Link_full report


● どんな花・植物が好まれるか:小売業態ごとに 顧客の感性と嗜好を掘り下げる

2025年の調査では、トピックとして新たに、花や植物の色彩やスタイル、質感に関わる生活者の感性・嗜好を探ってみた。
色調の好みを左右するのは、鮮やかさ(彩度)よりも明るさ(明度)。花・植物の「スタイル」、惹起される「エモーション(感情)」、「質感」に関する嗜好を調べると、全体としては、やや洋風でカジュアルなスタイルで、かわいさ・やさしさ・癒しの感情を呼び起こす花・植物、質感としてはシルキーで透明感があり、ふわふわしたものが好まれやすい。サイズは 嗜好を分けるポイントではなかった。順を追って説明していく。

対象店は、日比谷花壇、青山フラワーマーケット、花専門店、イオン、スーパー(イオン以外)、カインズ、ホームセンター(カインズ以外)、オザキフラワーパーク(練馬区)、園芸店・ガーデンセンター(オザキ以外)の9つ。ただ、回答者数が少ないので、2025年は個々の店よりむしろ4つの「業態」(花店、スーパー、ホームセンター、園芸店)を中心にまとめた。可能なところでは、参考値として個々の店にも言及する(店別の図表は解説書参照)。回答者は関東圏在住の20~50代で、各社の顧客(最近1年間利用者)。 実査は2025年1月。回答者属性など、詳細は下部参照。   

● 色調(カラートーン)の好み

色調とは:調査方法と色空間の説明

本調査では、花や植物の色彩に関する消費者の感性・嗜好を掘り下げるため、「色調(カラートーン)」という概念を用いて分析を行った。
色の分類には、HSV(Hue 色相、Saturation 彩度、Value 明度)色空間の概念を用いた。HSV色空間は、色をこの3つの次元で体系的に表現する手法で、人間の知覚に近い形で色を説明することができる。「色調」とは、この3次元のうち、色の鮮やかさ(彩度)と明るさ(明度)の組み合わせである。
今回の調査では、色調の傾向が異なる「カラーパレット」を作成し、好みを調べた。次の5つのパレットそれぞれについて、どれくらい自分の好みに合うかを、1(全くそう思わない)~7(非常にそう思う)の7段階で答えてもらった。

5つのカラーパレット

  • ビビッドカラー: 高明度で高彩度。鮮やかで強い色味を持つ
  • パステルカラー: 高明度で中程度の彩度。やわらかで明るい印象
  • ニュアンスカラー(くすみ系): 中〜低彩度で中明度。彩度が控えめで落ち着いた印象
  • ダークカラー: 低明度で高彩度。深紅や深紫など濃く重厚な印象
  • モノトーン: 高明度で低彩度。グレー~白みがかった色で、彩度はほぼないが明るい印象

図表 カラーパレット HSV上の位置づけ、対応する色の花・植物 Color Palette_HSV_examples

出典:青木恭子「花・植物の好み カラートーン、スタイル・質感・エモーション」2025年 


設問数の限界から、色の3次元のうち、赤青緑といった「色相(Hue)」については調べていない。それぞれのカラーパレットは5色から構成されているが、色相の好みの影響を避けるため、花や植物として不自然に感じられない範囲で 赤系青系の色をできるだけ均等に配分した。
なお、この調査は物流負荷軽減という事業テーマに合わせて、需要分散=カジュアルギフトの選好を業態別に調べるという趣旨で行われており、色調の設問でも「カジュアルギフトとして選ぶとしたら」という前提で尋ねていることに留意してほしい。

図表 色の構造 HSV空間におけるカラーパレットの色分布(パレット別+各パレットの重心)

Color_HSVspace_3D

3Ⅾインタラクティブ・マップはこちらをクリック=3次元マップの軸をぐるぐる回転させて、色の構造を見ることができます(新しいウィンドウで開きます)

出典:青木(2025年、上記)


好まれるのは、パステル系を筆頭に「明度の高い色調」

調査結果から、生活者が最も好むのは、「明度の高い色調」であるらしいことがわかった。具体的には、穏やかでやわらかな印象を与える「パステルカラー」が、全体として最も人気が高く、特に花店顧客を中心に幅広く支持されている。
次点として支持を集めたのが「ビビッドカラー」で、明るく鮮やか、元気で華やかな印象を与える色調が評価された。
「モノトーン」は、明るいが色味の少ない(低彩度)色調であり、自然でシンプル、シックな印象を持つ。ユリやカラーに象徴されるクラシックで上品な味わいとともに、園芸植物のシルバーの葉を思い起こさせる色調でもある。実際、園芸店利用者から好まれている。

対照的に、くすみ系のニュアンスおよびダークカラーでは、好き嫌いが明確に分かれ、好みの差(分極度)が高くなる傾向が見られた。特に、明度が低く、かつ彩度が高いダークカラーの色調に対しては、一部の生活者は明確な苦手感を示す。この傾向については次のコレスポンデンス分析(対応分析)のところで論じるが、明度と彩度の関係として、彩度が上がり明度が下がると消費者の好みが二極化しやすく、明らかな忌避感を抱く消費者層の存在が読み取れる。色調は、消費者の好みを明確に区別する「軸」のドライバーとなりうる可能性がある。

まとめると、平均的には、明度の高い色調が好まれる傾向にあるようにみえる。鮮やかさ(彩度)よりも、まず明るさ(明度)の好みが優先しやすい。平均ベースでみる限りでは、彩度の高低の影響は、明度ほど直線的ではなさそうである。  

図表 カラートーンの選好 業態別、店別(参考値)

カラートーン_好み_業態別_2025

カラートーン_好み_店別_2025

注:5つのトーンのカラーパレット(色相、彩度、明度、RGBの値から作成)の画像を示して好みを測定 平均スコアは7点満点 全く好みに合わない=1=1点~非常に合う=7点の7点尺度の回答から算出
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2025)「花店園芸店利用者調査」 各社とも最近1年以内の利用者、関東一都六県在住男女20~50代518名が回答(以下同)


好みの差異と調査上の注意点

調査設計上の課題として、カジュアルギフトという用途設定に限定されていること、また提示されたカラーパレットの具体的な色構成に消費者の判断が影響される可能性があるという点を指摘する必要がある。設問の仕方には工夫の余地が残る。たとえば、「花束の中のメインの色度して選ぶとしたら」というような尋ね方をしたら、違った結果が得られるかもしれない。 

こうした限定を踏まえると、今回得られた色調に関する結果は、あくまで一定の範囲内での好みの傾向を示すものであり、全ての消費シーンに当てはまるとは言える証拠はないこと、調査設計に改善の余地があることは、割り引いて考えなければならない。
また、単品と、ブーケの中で効果的に生かされた場合とでは印象が異なるだろう。質感の提示が可能であったら、ダーク系の花の魅力の潜在力を引き出す余地はあると思われる。
可能性として、男性や園芸植物購入者層は、比較的暗めの色調を受け入れる素地がありそうにみえる(コレスポンデンス分析のマップ参照)。

● スタイル・質感・感情の好みに関する分析

花や植物は単なる装飾品ではなく、人々の感性に訴える重要なアイテムである。花小売店の顧客が花・植物にどのようなスタイルや質感、感情的な価値を求めているのかを理解する必要がある。そこで、カラートーンに続き、各店の顧客が抱くスタイルや質感、花や植物を通して呼び起こされる感情の好みに焦点を当てた。その結果を考察しながら、小売業態や顧客クラスターごとの特徴的な嗜好傾向を明らかにしたい。  

今回の調査では、SD法(意味微分法)という手法を用いた。SD法では、対をなす形容詞(「和風―洋風」、「透明感―陰影」など)を両端に配し、どちらの印象をどの程度好むかを何段階かで回答してもらう。ここでは7段階で尋ね、左の形容詞側に強く傾けば-3~-1、右側に強く傾けば+1~+3という数値で平均を計算した。評価の真ん中(4=「どちらともいえない」)は 0点とした。この手法により、消費者がどのようなスタイルや感情、質感を好むかを客観的に測定することを目指した。

実査にあたっては、回答の順序効果を防ぐため、形容詞対の順序をランダム化したり、一部は左右を逆転して表示した。こうすることで回答のバイアスを最小限に抑え、消費者の感性をより客観的に測定できるように努めた。

平均ベースでの傾向

全体の調査結果では、「季節感があり、やや洋風でカジュアルなスタイル」が特に好まれた。感情面では、「かわいさ」「やさしさ」「癒し」といった柔らかで温かな印象を与えるものが強く支持されている。質感では、「シルキーで透明感のあるふわふわした印象」が好まれる傾向が明らかになった。

興味深いのは、平均としては、ほんの少しだけ「大ぶり」寄りのサイズが好まれていること。今までの調査では、自宅用とかカジュアルギフトという前提で質問すると、小ぶり志向が明確だった。しかし、持ち帰りや手入れの手間、飾るスペースなどの現実的な限定を外せば、必ずしも最初から小さいサイズが好まれているというわけではないと考えるべきだろう。ギフトやイベント用途で、視覚的に華やかで存在感のある花が求められるという事情も働いていそうである。一つ言えるのは、サイズ自体、花の好みの軸となるほど大事な項目ではないということである。

図表 スタイル・質感・エモーションの好み 平均値 全体

スタイル、感情、質感_設問と平均値表_2025

注:回答の系列効果を避けるため、実査時は形容詞対表示順をランダム化したうえで、一部は対の左右を入れ替え(表では反転集計済) スコアは7点尺度 1~3が左形容詞のスコア(1=+3、2=+2、3=+1)、どちらでもない(4=0)、5~7が右形容詞のスコア(5=-1、6=-2、7=-3)として計算 正負自体には意味はない


図表 スタイル・質感・エモーションの好み 要約

スタイル、感情、質感_平均


業態別・店舗別に見る特徴的な好みの傾向

業態別では、花店とホームセンター・園芸店で明確な違いが見られた。花店では洋風で都会的、ややゴージャスなスタイルへの支持が強く、お祝いごとやギフトとしての需要を示唆している。一方、ホームセンターや園芸店は野趣的な傾向があり、自宅で楽しむ日常的な園芸用途を示唆している。

店舗別で見ると、「日比谷花壇」の好みは、華やかでふわふわ感の強いスタイルで、ややゴージャス寄りであることが特徴的だった。「青フラ」は、目新しさや小ぶりなスタイルへの嗜好が見られ、独自性やカジュアルさを求める顧客の存在が浮き彫りになっている。
「オザキ」は、ぷっくり感やでこぼことした質感、さらにモノトーン系の色調に強い嗜好性を示しており、観葉・多肉植物や園芸愛好者の個性的な感性を反映していると考えられる。

図表 スタイル・質感・エモーションの好み 平均値 業態別 スタイル、感情、質感_業態別


● クラスター分析による顧客タイプ分類

調査結果をさらに掘り下げるため、クラスター分析を行い、消費者を4つのタイプに分類した。各クラスターの特徴は以下の通りである。

  • ピュアシック:清楚で控えめ、落ち着いた印象を好むタイプ
  • ベーシックバランス:中庸でバランスの取れた好み 最も人数が多い一般的なタイプ
  • ふわふわカジュアル:やわらかく、明るくカジュアルなスタイルを好む 女性に多い
  • 華やか変化志向:目新しさやゴージャスで華やかな印象を求めるタイプ


最も多かったのは中庸な「ベーシックバランス」だが、特に女性層に「ふわふわカジュアル」クラスターが際立って多く見られた。ふわふわカジュアル派は、20代女性では58%を占め、このセグメントを特徴づける志向であり、若年女性をターゲットにする際の指標となりうる結果だった。

図表 クラスターごとのスタイル・質感・感情の特徴
クラスター_特徴


好みを構成する形容詞対とともに、4つのクラスターの差異をレーダーチャートにした。「好み」の読み方だが、円の外側に向かうにつれて形容詞対の左側の嗜好が強い。 円の中心に近づくにつれて、右側の形容詞の嗜好が強くなる。 4は7点で真中=どちらでもない。たとえば、タイプ1(グリーン線)は「清楚」「シック」が強いことがわかるだろう。「やさしい―クール」軸では、プロットがぐっと内側に寄っている。これはこのクラスターは「クール」に傾いているという意味である。


図表 4つのクラスター 好みの特徴 レーダーチャート

クラスター_レーダーチャート


図表 クラスターごとの好みの特徴と性年齢別分布

クラスター_性年齢別


ただし、クラスター分析は統計処理上の揺らぎがあり、クラスターの分類は必ずしも安定的ではない(再現性に課題)。また、分析者の裁量余地が大きい。あくまで顧客の傾向をざっくりと分類し、マーケティングのヒントとして活用すべき手法であり、数値を厳密に比較する用途には適していない点には注意を要する。


● コレスポンデンス分析:色調×スタイル 嗜好の特徴を視覚化

調査結果をさらに深掘りするために、コレスポンデンス分析(対応分析)を行った。ここでは、色調とスタイル等の好みを合わせて解析した。

コレスポンデンス分析(Correspondence Analysis, CA)は、クロス集計を二次元(多次元)空間で表現し、複数のカテゴリ間の関係性を視覚的に表現する分析手法である。ここでは、スタイル・質感・感情および色調の好みの各項目、店や性年齢との間の距離を計算し、関係性を明らかにした。

CAでは、項目間の関係を多次元空間における距離として表現し、その構造を可視化する。図の中央(重心)は全体の平均を示し、そこから離れた位置にある項目ほど、その項目が全体平均とは異なる特徴を持つことを示す。また、軸は評価の分かれる方向を示す。 マップが示すように、横軸「柔らかさ・明るさ―重厚さ」という軸が、最も重要な嗜好軸として抽出されている。

ただし、軸の説明力(寄与率)が必ずしも強くないため、詳しい傾向把握には、次に示すように、多次元での距離を参考にする必要がある(2次元マップで近く見えても、実際の距離は離れていることがあるため)。また、コレスポンデンス分析の性質上、回答者数などのサンプルサイズが反映されないというデメリットもある。少数派の傾向に引っ張られないようにするなど、解釈に注意しなければならない。

図表 コレスポンデンス分析 マップにみる嗜好構造

Correspondence_Map

注:この分析の手順とコード(Python)は著者サイト参照 https://github.com/gerdaresearch/FlowerPlantshop_Customersurvey2025
出典:青木(2025年、上記)


この分析の軸は、評価が最も強く分かれる方向を示し、第1軸が最大の違い、次いで第2軸、第3軸…と続く。図の中央の「重心」は全体平均であり、各項目の位置はその平均からのズレ(距離)によって特徴づけられる。距離が大きいほど、その項目が全体平均とは異なる独自の傾向を持つことを示す。
ここで注意が必要なのは、「距離が近い」ことが必ずしも「選好度が高い」ことを意味するわけではない点である。あくまでその店舗や属性の「好みの構造」に近いか遠いかを示しているにすぎない。  

コレスポンデンス分析結果と注目すべき店舗

CAマップの分析から、興味深い特徴を挙げる。

  • 日比谷花壇:「ゴージャス感」「ふわふわ感」「透明感」といった項目と距離が近い。ギフト用途を意識した顧客層の嗜好が読み取れる。他店と比べて「ふわふわ」が上位に来るところに注目したい。
  • 青フラ:「目新しさ」と非常に距離が近く、個性的で新鮮なイメージを重視する顧客の傾向が強い。複数の感性項目と近いことから、ブランドのイメージが明瞭であることが示唆される。
  • オザキ:他店とはっきり異なる「でこぼこした質感」「ぷっくり感」など独特の嗜好性が特徴。「モノトーン」の好みとの親和性の高さでも際立っている。


図表 CA分析 原点からの距離による店舗ごとの特徴(参考値)

Correspondence_distance_3stores_2025

なお、コレスポンデンス分析に際しては、スタイルや質感・感情についての形容詞対は好みの構造を分かりやすくするために、各形容詞対を双極に分解し、それぞれの極(左右)を独立した項目として扱った。色調の好みについては7段階尺度を「ネガティブ」(1~3)と「ポジティブ」(5~7)に分け、それぞれを独立項目として分析している。このため、4(どちらでもない)は分析から除外されている。
クラスター分析の結果では「中庸派」が3割以上を占めているため、現実の顧客の選好を考える際には、この中庸派の存在を意識すべきである。


中立率と好みのばらつき

好みの分析においては「中立(どちらでもない)」の回答が多い項目と少ない項目が存在する。
そこで、各項目における「中立的な回答(どちらとも言えない)」の多さと「好みの分かれやすさ(分極度)」をマップにプロットして可視化してみた。

横軸は中立率(7段階中「4=どちらともいえない」の割合)、縦軸は分散、つまり、各項目の好みが、人によってどれだけ割れているかと表す。色調は、カジュアルギフトの好みである。
横軸(中立率)が高いというのは、その項目に対する顧客の態度は曖昧で、どちらとも答えにくいと感じている人が多いという意味になる。その項目は、左右(形容詞対)あるいは好悪(色調)にばらつきがあるということである。

マップから読み取れるのは、まず、「やさしさ」と「パステルカラー」は共通項で、その他の色調は 好みが分かれるということである。また、「目新しさ」「サイズ」をはじめ、中立が多い項目は、差が出にくい。 概して、中立が少なく分散が大きい項目(色調関連など)は、好みを明確に分ける軸として機能しやすい。逆に中立率が高い項目は差がつきにくく、嗜好構造を明確にする力が弱い傾向があると考えられそうである。

図表 中立率×回答のばらつき(分散)による各項目の傾向マップ

スタイル、感情、質感_中立率×分散_反応傾向マップ


色調やスタイル・質感・感情に関する分析はまだ途上で、改善すべき点が山積している。とはいえ、業態や個別の店単位で、花・植物について顧客の特徴的な嗜好を理解しようとする試みはまだ多くはない。この調査を通じて少しでも、需要の創出と花産業の持続可能性に資する視点を提供できればと願って取り組んだ。



調査概要

・日時:2025年1月24日(金)~1月27日(月)
・調査方法:ネットモニター・アンケート(インテージ)
・対象店・業態:4業態(花店、スーパー、ホームセンター、園芸店) 各業態は下記表の9店から構成
・回答者:関東一都六県在住20~50代男女で、「花・植物または関連商品を 対象企業で 過去1年以内に購入」した人。スクリーニング調査(7020名)で該当者を抽出、本調査回答者は計518名(537名分納品、データクリーニング後の採用数)
・調査項目:利用状況(利用経験、用途、頻度、購入内容、平均利用額、購入内容)、
物流負荷軽減・需要平準化(物日・非物日の購入率、計画購入率・店頭変更項目、業態別潜在ニーズ=品目、カラートーン、スタイル・エモーション・質感の好み)、
顧客評価(品質、コスパ、総合満足(CS)、継続利用意向、推奨意向(NPS))、
自由回答(当店で気に入った花やサービス、改善・欲しいサービス)、
スクリーニング(10企業・業態の利用経験、推奨度・要因、買い控え経験)
・農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施(令和6年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)
・企画・調査設計・分析および報告:青木恭子
花店園芸店利用者調査2025年_解説書(集計表付)_Link_full report


目的

・小売の視点から、物流負荷低減に貢献しうる川下ニーズを探る
・花・植物小売の業態別利用状況と、利用者の評価を把握する
・顧客が重視するポイント別に、顧客評価への貢献度、底上げすべき点を明らかにする
・花店はじめ、花の流通関係者にわかりやすい構成として、比較参照やベンチマーキングに役立ててもらえることを目指す
・ 小売の視点から、物流負荷低減に貢献しうる川下ニーズを探る
・小売業態別、部分的には店別に、最近の実ユーザーの利用状況や評価を調べ、一般的な生活者調査の「平均」ではとらえられないニーズを分析する
・需要の集中実態(特定物日・品目)と、顕在的・潜在的な嗜好の傾向を照らし合わせ、物流負荷軽減につながりうる需要平準化のヒントを模索する
・花業界の実務者に対して、ベンチマークや現場改善の参考となりうるデータを提供する
・企業のランキング付は、調査の目的ではない。特定企業を取り上げるのは、ベンチマークの手がかりを示すためである

本調査 回答者属性 利用店別

利用店別回答者数 (n)構成比 (%)男:女 (%)平均年齢 (歳)有配偶率 (%)東京都在住 (%)ネット購入 (%)世帯年収 (万円)持家率 (%)
全体518100.051:49426634378168
日比谷花壇6612.753:4739674981,03364
青山フラワーマーケット7514.549:51385651485059
花専門店6111.851:49456236892162
イオン7714.951:49447126082968
スーパー5711.049:51476033081667
カインズ7614.747:53446812169079
ホームセンター6011.653:47426827277373
オザキフラワーパーク193.763:37417463587368
園芸店275.256:44428230475570
注:20~50代男女で関東一都六県在住者を対象に調査 ネット購入率は利用店についての自由回答から判定し集計、実店舗併用者も含む


注意 回答品質のチェック
データは、調査会社でシステム化された品質管理チェックを経て、納品されている。さらに納品後、分析者が個別に厳しくデータクリーニングしている。本調査537サンプル納品中、19件を削除、518サンプルを採用した。全サンプルについて、利用店舗・地域とホームページの店舗リストおよび地図を照合して利用を確認。店名・地域の記入状況、自由回答の内容、購入内容、購入頻度を総合して、花や植物を買っていないのではと疑いの残る場合や、店(ブランド)を取り違えている恐れのある方、不真面目な内容や多重IDと疑われるサンプルは削除している。また、店の分類について、一部振り替えている(たとえば、「ホームセンター」の利用者として回答してもらっているが、実際には利用店名が「カインズ」と記入されていた場合は、「カインズ」回答者として扱う)。
何重かの基準で精査し、回答品質を上げるようにしている。それでも、回答者の解釈や記憶の薄れ、ポイント稼ぎと思われる不誠実な回答が混入している恐れは否めず、それを完全に析出する術が今のところないため、データには若干の不整合が生じ得る。

引用について

引用は、基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。(以下、引用例をいくつか挙げますが、この通りでなくても結構です)
・データについて
 出典:国産花き生産流通強化推進協議会「花店園芸店利用者調査 2024年」

・著者の解説について
 出典:青木恭子(2025)「花店園芸店利用者調査 解説」国産花き生産流通強化推進協議会

・Source: Aoki, Kyoko (2025) Flower shop / garden center customer survey 2025 Japan Commentary. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

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本調査は、農林水産省の助成で実施されました。 This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.