花店利用者調査2023年~2.花店利用状況 利用頻度、用途、理由 Flower shop customer survey 2023: Purchasing behaviour and customer evaluations Excerpt 2 Frequency, usage, items of flower & plant purchase

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「花店利用者調査」2023年版では、花小売4企業の顧客(最近1年間利用者)に、利用状況と評価を聞いた。ポイント解説 第2回は、利用頻度、用途、理由について。
お客さんたちは、なぜこのお店を選んでいる(選んだ)のか? 日比谷花壇では、「品質が優れている」(58%)が圧倒的で、高品質であることが際立った利用理由になっていた。「よく知られたブランドである」(22%)ことも、選ばれる理由の一つ。青フラは「立地(アクセス)のよさ」が7割を超す。「商品のきれいさやかわいさ」も(45%)、青フラの魅力の源泉。イオンはアクセスのよさや、ついで買いができることが利用理由の上位を占める。ユニクロはコスパ(24%)、低価格(21%)が、他店と比べて顕著な強みになっている。「季節の花」(24%)も、コスパと並んでユニクロへの来店理由の一角を占めることに注目したい。ユニクロフラワーは、花と服には共通点があること、それは「人々の生活に彩りを与え、より豊かにしてくれる。そして、季節を感じられる」ことだと、開店当初からコピーに掲げている。このコンセプトが、お客さんに伝わっているということなのでは。調査概要はページ下部参照。
Results of the 2023 Flower Shop User Survey. Shops surveyed include Hibiya Kadan, Aoyama Flower Market, Aeon and Uniqlo Flower. This article summarises the purchase frequency, usage, reasons to choose the shop.
報告書_Link_full report



● 属性

属性の性別年齢別分布を見ると、日比谷花壇では30代男性が19%で最も多く、次いで50代女性(16%)と続く。
ユニクロでは女性比率が高い。特に20代と50代の女性が、それぞれ2割を占める。本協議会で行っている「消費動向調査」では、花消費の趨勢として、女性、特に40~50代女性の購入率が、平均より早く衰退していることがわかっている(2009-2021年の間に、自宅用の購入率は「毎年」全体で-3.5%減少しているが、40代女性では-5.4%、50代女性-5%ずつ減少)。ユニクロは、もともと購入率の低い20代と、主要な買い手ではあるだけに縮小が花消費全体に響くミドル世代の両方で、女性の需要を引き付けていることは重要である。
イオンについては、郊外のスーパー内売場の場合、実際にはミドル~シニアの女性層が主要な顧客である可能性があるが、この層、特に60代以上はリサーチ会社のネット登録モニター調査ではリーチしにくい。この調査でも、ミドルの男性比率が高くなっている。
店頭での調査は、今の時代、実施が困難になっている。予算制約上、購買データの入手も難しい。本調査は、こうした様々な制約の中で、何とかデータを確保しようとして行っている。以下の報告はこうした限界を考慮したうえで、読み解いてほしい。他の属性概要はこの頁下の概要欄参照。

図表 属性 性別年齢別 Gender_Age_byStore2023

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)


● 利用頻度

最近1年間(≒2022年)における、対象店での花購入頻度について尋ねた。関東在住の各店実利用者(20~50代)のネット調査回答(以下同)。
花専門店では、「2回」(半年に1回程度)という人が最も多い(日比谷花壇27.3%、青フラ36.2%)。花専門店では、7割前後が年2回あるいはそれ以上の頻度で利用しており、この比率は昨年と変わらない。
日比谷花壇では「年12回以上」が3.1%、「11~12回」が7%と、ほぼ1か月に一度かそれ以上来店する人が1割近くを占める。一部はサブスクか。なお、日比谷花壇はネット利用者が13%を占める。
ユニクロでは、「3回」以上のリピーターが付いているのが目を引く。
イオンは、「1回」が過半数。ただし、このネット調査ではイオンの回答者はミドルの男性が多数を占め、ミドル~シニアの女性利用客の利用実態をうまく捕捉できていない恐れがある。その他の項目でも、この点に注意。


図表 この店(花・植物売場)の利用頻度 Frequency2023

注:2023年1月上旬実施のため、ほとんどが2022年の利用。各社とも最近1年以内の利用者に質問。関東在住男女20~50代500名が回答(以下同)  
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



● 用途

各店での花・植物の購入用途。複数回答のため、合計は100%を超える。
日比谷花壇(64.8%)、青フラ(71%)ではギフト用途がトップ。両チェーンは、自宅の装飾用に5割前後の購入がある。

よくわからないのが、日比谷花壇の自宅用。前回のブログの物日の購入状況の結果から考えると、日比谷花壇は物日に購入が集中する傾向にあった(ネット利用者は13%で、母の日等に利用されている)。物日以外の購入率が比較的少ない結果だったことを考え合わせると、利用者(少なくともその一部)は、夫・妻をはじめ家族向けのギフトの一部は、「自宅用」とみなしているということだろうか?

イオンでは「日常のお供え用」が28%で、他の3社の倍程度の比率だが、4割弱(38.3%)は、プレゼント用にも購入している。

ユニクロのホームユース需要の強さは、この「用途」別のデータでもはっきり表れており、「自宅装飾用」が7割近くに達している。

図表 購入用途

Usage2023

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



● 購入内容

アイテム

利用者は、その店で何を購入しているか。青フラではブーケやアレンジメントが非常に多く、利用者の76%に達する。日比谷花壇でもブーケ等が66%を占めるが、プリザーブド・フラワー等もよく売れている(21%)。

図表 購入内容 Purchase_Item2023   

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



「ドライフラワー」の謎:活けずにそのまま「DIYドライ」?

選択肢の中で、「ドライフラワー、プリザーブド・フラワー」の解釈は悩ましい。青フラやユニクロでは14%前後を占めているが、実際に店頭でそれだけ売られているようにはとても見えない。誤差とはいいがたい比率で、これだけの人が皆いい加減に答えているとも考えにくい。
あるいは、ユーカリやスターチス、状態によってはミモザやカスミソウなど、店では生花として売っていても、顧客は最初からドライ用として買ってきているのかもしれない…。


ということで、花をドライで楽しむ人は、どの時点でドライにしているのか、アドホックなスポット調査で、生活者の生の声を聞いてみた。(マクロミル「ミルトーク」、2023年3月29日実施、全国対象)。

回答内容を取得できた30名のうち7名は、買ってきたら「水に活けず、そのままドライにする」と答えている。うち、(買わずに)「自分で採取する」方を除くと30名中6名(20%)は、花を初めからドライ用として買ってきている。青フラやユニクロでドライフラワーを買ったと答えた人たちのうちには、こうした利用者が含まれているのかもしれない。
残りは「水に活けてしばらく飾り、その後ドライにして、2度楽しむ」という人たちで、こちらが多数派である。
30名中男性は8名、うち半数(4名)は「すぐにドライ」派である。女性では「活けてから2度楽しむ」派がほとんど(86%)だった。無駄にせずアップサイクルする満足感もお得感も得られ、2倍うれしいというところか。

図表 ドライフラワー  活けてからドライか、活けずに最初からドライか DriedFlower2023

注:「生花を買った後、どんなタイミングで、どんな花をドライフラワーにしていますか?」という質問に対する答え。マクロミル「ミルトーク」登録の生活者対象、2023年3月29日実施、コメント100件中、データ取得可能な30名について集計。   
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)


● この店を選ぶ理由

なぜ、この店を選ぶのか

お客さんたちは、なぜこのお店を選ぶ(選んだ)のか?
日比谷花壇では、「品質が優れている」(58%)が圧倒的で、高品質であることが際立った利用理由になっていた。「よく知られたブランドである」(22%)ことも、選ばれる理由の一つである。
青フラは「立地(アクセス)のよさ」が7割を超す。同時に、「商品のきれいさやかわいさ」も(45%)、青フラの魅力の源泉となっている。
イオンはアクセスのよさや、ついで買いができることが利用理由の上位を占める。
ユニクロはコスパ(24%)、低価格(21%)が、他店と比べて強みになっている。「季節の花」(24%)も、コスパと並んでユニクロへの来店理由の一角を占めることに注目したい。ユニクロフラワーは展開当初から、花と服には共通点があること、それは「人々の生活に彩りを与え、より豊かにしてくれる。そして、季節を感じられる」ことであるとコピーに掲げている。このコンセプトが、お客さんに伝わっているということなのでは。

図表 利用理由 Reasons2023

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)


当店を選ぶ割合(花・植物を買うとき、10回のうち何回このお店を利用するか)

花や植物を購入する際、だいたい、どのくらいの割合で、回答対象店を利用しているか、尋ねた。この質問は、最近1年間に限らず、いままでの経験として答えてもらった。

日比谷、青フラは、花を買う場合、10回のうち6回以上は「当店」を選ぶ利用者が半数を占め、ロイヤルユーザー層の厚みがうかがわれる。
イオンの利用者では、当店は選択肢の一つで、花・植物の購入時に他の店と使い分ける一方、「今回初めて利用」も2割台にのぼる。
ユニクロもややイオンに傾向が似ているが、立地や店舗数(まだ花の扱い店舗が少なく、都心中心)の制約もありそうである。  

図表 当店利用割合 UseRatio2023

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



調査の概要
・日時:2023年1月11日(水)~13日(金)
・調査方法:インターネット・アンケート(マクロミル)
・対象企業・業態:日比谷花壇、青山フラワーマーケット、イオン、ユニクロ・フラワー
・回答者:関東一都六県在住20~50代男女で、対象企業で花・植物または関連商品を過去1年以内に購入した人。スクリーニング調査(21877名)を経て該当者に回答依頼。データ・クリーニング後の本調査回答者数は計500名(※前年の2022年は全国・9企業・業態対象1005名解答)
・主な調査項目:利用状況、顧客満足関連指標、サービス品質項目評価、よい点、改善してほしい点
・農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施(令和4年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。
・企画・調査設計・分析および報告:ゲルダ・リサーチ 青木恭子

花店利用者調査2023年_報告書_Link_full_report


対象企業・業態 回答者数

企業・業態回答者数 n構成比男:女平均年齢有配偶率東京都比率ネット利用
 n
全体500100.049:5140.564.244.45.0
日比谷花壇12825.648:5241.170.351.613.3
青フラ13827.644:5638.963.855.12.2
イオン13326.667:3642.063.930.80.0
ユニクロ10120.236:6439.757.438.65.0
注:ネット利用者は実店舗との併用者も含む


目的
・花小売店の業態別利用状況と、利用者の評価を把握する。
・花店の顧客が重視するポイント別に、顧客評価への貢献度、底上げすべき点を明らかにする。
・花店はじめ、花の流通関係者にわかりやすい構成として、比較参照やベンチマーキングに役立ててもらえることを目指す。
・企業のランキング付は、調査の目的ではない。特定企業を取り上げるのは、ベンチマークの手がかりを示すためである。

引用について

引用は、基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。(以下、引用例をいくつか挙げますが、この通りでなくても結構です)
・出典:国産花き生産流通強化推進協議会「花店利用者調査 2023年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
・出典:青木恭子(2023)「花店利用者調査」国産花き生産流通強化推進協議会
・Source: Aoki, Kyoko (2023) Flower shop customer survey 2023: Purchasing behaviour and customer evaluations by business category. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

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本調査は、農林水産省の助成で実施された。 This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.