花の消費選好2023年~No.4 まとめ Consumer Preferences for Flowers Japan 2023 - No.4 Executive summary

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花の消費選好に関する2023年版データ。旧「花の消費動向調査」の後継版。解説第4回目は、全体のまとめ。価格上昇と物流逼迫の狭間で、花を買い続けてもらうためには どうすればいいか? この消費選好調査から得られる一つの解は、小ぶり・アップサイクルへのニーズを取り入れつつ、生活者の心理的な価格感度次元を考慮しながら、値付けを工夫していくということだろう。 日持ちやアップサイクルのような流通品質、環境品質は、花の外観と異なり、生活者からすれば直接には知覚しにくい。こうした「品質」の価値を伝えるのは、表示の課題だろう。認証、POP、日持ち保証販売のスリーブ、ネット等を通じたコミュニケーションを伴ってはじめて、価値と市場が結びつく。
実施概要はページ下部に掲載。調査は、農林水産省の資金により、国産花き生産流通強化推進協議会が実施した(令和5年度持続的生産強化対策事業の「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。分析と報告執筆は筆者(青木)
Japanese Consumer Preferences for Flowers: 2023 Edition - Report 4. Executive summary
Funding for this research was provided by the Ministry of Agriculture, Forestry, and Fisheries in Japan. The study was conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Reported by Gerda Research.
花の消費選好 2023年_報告書_Link_report
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ポイント要約

【花・植物の購入状況=トレンド】

・購入率
2023年はコロナの行動制限が解除され、購入率は花(39%)でも植物(22%)でも前年を上回った。

・用途
プレゼント用(22%)でも自宅用(19%)でも需要は増加に転じたが、これが続くかどうか。購入シーンとしては「墓参り」が4割を超え、「自宅の装飾用」(39%、22年は42%)を抜いた。

・属性 花・植物ともに、よく買うのは、20~30万都市在住者、既婚者、50代女性、持ち家1戸建居住者。家計調査を見ても、支出額上位は、切り花では福島や大津、徳島、植物では津、山口、富山など、人口20~40万前後の地方都市が多い。

・購入価格帯
価格帯は上昇が続く。プレゼント用(実購入者)では「3000~5000円」の価格帯が膨らみ、45%を占めるに至った。一方、「1500円以下」のカジュアルギフトに需要が出ている(計17%)。自宅用(実購入者)では低価格帯が減り、「1500円以上」が拡大(21年18%→ 22年24%→23年44%)。

・購入頻度
「年に1回以上」花を購入する習慣のある人は減少しており、特に、自宅用は2019年以降4年間で11ポイント減(43%→31%)となった。家計調査でも、22年時点で切り花支出額が上昇に転じた裏で、購入頻度が落ちている(植物支出は、22年は用品と合算で切り花にほぼ並ぶ)。

・購入経路(購入者中)
花屋が7割超だが、23年はスーパーが伸びて40%に。ミックスMDのコラボ店(花や雑貨など複合店)は7%。

・購入内容
ブーケや切花が多い。ワークショップやレッスンは全体の1%未満に過ぎないが、コミュニケーションを伴うサービス的な需要は開拓余地があるのでは。

【日持ち保証販売】

・日持ち関連では、鮮度保持剤使用は14%となり、22年比3ポイント上昇した。
・「日持ち保証販売」認知率は22%、利用経験率は 11%。利用意向は 28%だが、依然、「わからない」が約6割を占める。

【環境配慮と表示】

・環境・品質ラベルの購入率はMPS 1.4 %、リレーフレッシュネス 1.8%。国連SDGsの認知率は65%に達し、 4年で約5倍になったが伸びは鈍化している。

・重視する表示は、花では「品種」34%、次いで「花の特徴」28%。野菜では産地関連が上位で、「環境認証」の重視度は凋落(2008年35%→2023年 7%)。

・認証重視度が下がっていても、それは農薬や肥料使用状況への関心が失われることと同義ではない。花では31%、前年比で7ポイントアップし、2018年を底に、関心の回復基調がはっきりしてきた。


【物流関連 規格、アップサイクルの評価、価格感度、母の日の花贈り】

・2023年は特設課題として、物流逼迫への対応が掲げられた。効率的で持続可能な花の流通に向け、川下からのヒントとして、ホームユースの花について、最適な規格、アップサイクルの活用から価格感度まで、生活者の選好を調べた。併せて、物日のあり方に関して、母の日を例として、購入経験や花贈りへの生活者の意見を探った。

・サイズは、圧倒的に小ぶりが人気。40㎝未満を希望する人は、花では92%(20㎝未満だけで37%)、植物では88%。

・アップサイクル(ロスフラワー、スマートフラワー含む)に対しては、無関心派は全体の4分の1に過ぎず、多くが好意的で何らかの利点を見出している。ベネフィットの打ち出し方としては、まず生活者側の「実利」(価格 ・利用面での合理性)を感じてもらえる工夫が必要なようである。次いで「サステナブル」「クリエイティブ」といった、アップサイクルのメリットをアピールすべきだろう。

・サイズのコンパクト化やアップサイクルは、生活者が花を選ぶ際、どれくらい重要な要素なのだろうか? スタイル(季節の花など)、日持ちという他の重要な属性と組み合せ、花束の魅力度に順位を付けてもらう形で、比較実験(コンジョイント分析)を行った。
その結果、重要度は スタイル(44%)>日持ち(36%)> アップサイクル(11%)>サイズ(9%)の順となった。アップサイクルや小さめサイズは、花束の魅力度アップに ある程度貢献することがわかった。

・花束の価格設定はどうすべきか? 生活者の価格感度を調べた(季節の花・10本程度の花束)。買わない人を含む全体平均では、6000円弱で「高すぎて買えない」、3700円程度で「高い」。「安い」と思いはじめるのは、1370円を下回る頃から。自宅用の実購入者に絞ると、「安いと思う」は1775円、推定購入額(商品の限定なし)は1966円。


【母の日の花贈り】

・物日のあり方に関して、母の日を例として、購入経験や花贈りへの生活者の意見を探った。
・典型的な需要集中日である母の日については、「ほぼ毎年贈る」が最も多く全体の21%。「2~3年に1回」「4~10年に1回」が 12%ずつ。全体の15%は「贈らない・贈れない」。
・母の日の花贈りについての自由回答を見ると、シンプルな肯定(感謝、喜ばれる)が多いが、カーネーションについては、肯定と飽和感が混在している。相手の好みを考えたり、マンネリ化を防ぐという理由から、花以外や、花プラスαの贈り物に需要が流れている。「枯れる・世話が大変」などの理由で、花を避ける人たちも一定数存在。

【最後に】

・物流負荷を和らげつつ、価格上昇の趨勢の中で、花の購入習慣を維持してもらうにはどうすればいいか?
この消費選好調査から得られる一つの解は、小ぶり・アップサイクルへのニーズを取り入れつつ、生活者の心理的な価格感度次元を考慮しながら、値付けを工夫していくということだろう。
日持ちやアップサイクルのような流通品質、環境品質は、花の外観と異なり、生活者からすれば直接には知覚しにくい。こうした「品質」の価値を伝えるのは、表示の課題だろう。認証、POP、日持ち保証販売のスリーブ、ネット等を通じたコミュニケーションを伴ってはじめて、価値と市場が結びつく。



調査概要

概要

花の消費動向と環境意識について、継続調査。現在は農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施。主要な設問の枠組みと2017年以前のデータについては、認証会社であるMPSジャパンから提供を受けた。2023年度は、物流課題対処として規格や価格関連の新項目を設けた。
調査、分析、報告:青木恭子

実施方法

日時:2023年8月13日(月)~8月14日(火)
調査方法:インターネット・アンケート(「インテージ」のモニター対象)
回答者:日本国内の20~50代男女、全500名

設問項目

消費関連の継続データを蓄積。一方、2023年は、物流2024年問題関連のセクションも設けた。一部項目はブログでは省略。
● 花、植物の購入(継続)
今年1年の花および植物の購入率、購入用途、経路、金額、頻度、購入する日や場面、重視点、購入内容
● 日持ち保証販売(継続)
家庭での花の管理状況、日持ち保証販売の認知率、利用率、利用意向
● 表示、認証、環境対応(継続)
表示の重視点、環境ラベルの認知率・購入率、栽培情報重視度
● 物流課題対処 最適サイズ、規格外・未利用部位ニーズ、物日(2023年度特別調査)
好まれるサイズ、アップサイクルの選好、ホームユースの価格感度、物日の購入状況:母の日の花贈り

この記事の引用例 以下は例。著者の解釈も含める場合は、著者名でも可。この通りでなくてもよい。

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2023)「花の消費選好 2023年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
出典:青木恭子(2023)「花の消費選好」国産花き生産流通強化推進協議会
Source: Aoki, Kyoko (2023) Consumer Preferences for Flowers Japan 2023. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

本調査は、農林水産省の助成で実施された。
This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan.
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