花の消費動向2021年~花き消費、日持ち保証販売、環境対応、認証および観葉植物の購入・栽培実態 Trends in flower consumption: Purchase, vase life, environmental awareness, sustainable certifications, and houseplants customers

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花の消費動向と環境意識に関する継続調査の2021年版データ。この1年の花の購入率(2021年)は45.6%。2009~2020年まで年率4.8%の割合で減少(CAGR=複合年間成長率)を続けていたが、2021年にはようやく、前年比2.1ポイント増で上昇に転じた。プレゼント用の花需要(28%)が復活(+5ポイント)し、花の自宅用需要(23%)の減速(-3.4ポイント)を相殺して、全体としての購入率の上昇を牽引した。植物の購入率は30%で横ばい。2020年は+6ポイントだった。手堅かった祭壇用の供花の需要は、浸食が進む。供花の主な買い手は50代女性だが、この層の購入率は、2013年の3割強から2021年には1割台に縮小、2013~2021年の年間減少率は7%。同じ期間に、20代女性のお供え花購入は、10%から「ゼロ」になった。
今年の購入者のうち、過半数は「母の日」に集中している。30代男性は「バレンタインデー」に、40代男性は「ホワイトデー 」に、それぞれ9.6%が花を購入した。「この1年間購入していない人」は年7.2%のペースで増えた。特に、女性で「この1年買っていない」人が年率10.2%増えている。40代、50代女性は、自宅の装飾用の購入でも毎年の減少幅が5~6%に上り、平均より速く減退している。女性の需要についても、てこ入れが必要になっているかもしれない。
調査は、農林水産省の資金により、国産花き生産流通強化推進協議会が実施した(令和3年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。
In the year under review (2021) , the flower purchase rate stood at 45.6%, up 2.1 points from the previous year (43.5%), reversing the long downward trend since 2009. The recovery of gift flower purchase (28%) (+5 points) offset the slowdown in home use (23%) (-3.4 points) . The plant purchase remained unchanged at 30%.
The once-robust demand for altar offerings is undergoing a significant erosion. The purchase rate of women in their 50s, the main buyers for this use, has shrunk from over 30% in 2013 to the high 10% range by 2021, and among women in their 20s, the demand fell from 10% to ‘zero’ over the same time period.
The majority of consumption is concentrated on Mother’s Day. Nearly 10% of men in their 30s buy flowers on Valentine’s Day.
This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.

引用について

基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。引用時は出典を記載
(引用例)出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
花の消費動向 2021年_本文リンク_Link_report
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1 概要

(1) 概要

花の消費動向と環境意識について、毎年継続調査。現在は農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施。主要な設問の枠組みと2016年以前のデータについては、MPSジャパンから提供を受けた。
2021年度は鉢物の設問を設けた。協議会鉢物部会から仮説と課題、質問内容の提案を受け、「消費行動調査」の一部として実施した(別途レポートあり)
調査設計、分析、報告:青木恭子

(2) 実施方法

日時:2021年11月17日(水)~18日(木)
調査方法:インターネット・アンケート(マクロミルのモニター対象)
回答者:日本国内の20~50代男女、全520名

(3) 設問項目

基本的に継続項目で時系列データを蓄積。要約では主要部分のみ掲載。

● 花、植物の購入(継続)
今年1年の花および植物の購入率、購入用途、経路、金額、頻度、購入する日や場面、重視点、購入内容
● 日持ち保証販売(継続)
家庭での花の管理状況、日持ち保証販売の認知率、利用率、利用意向
● 表示、認証、環境対応(継続)
表示の重視点、環境ラベルの認知率・購入率、国産志向、栽培情報重視度
● 観葉植物の購入・栽培実態(2021年度特別調査)
観葉植物の購入経験、理由、栽培状況、枯らせた経験、購入意向、虫への対処


2 花、植物の購入

(1) 購入率

この1年の花の購入率(2021年)は45.6%で、前年(43.5%)比2.1ポイント増。2009年以降の減少傾向が反転して上向きに転じた。

図表 最近1年間の花の購入
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


図表 最近1年間の花購入率 2005~2021年 image

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供



植物の購入率は30%で横ばい。2020年は+6ポイントだった。調査時期が11月(緊急事態宣言解除後)で園芸シーズンから離れており、一部では購入の記憶が薄れた人もいたかもしれない。

図表 最近1年間の植物の購入
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


図表 最近1年間の植物購入率 2019~2021年
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


(2) 購入用途

花の購入用途別にみると、自宅用需要(23%)は減速し、2020年比で3.4ポイント低下してしまった。一方、プレゼント用(28%)は5ポイント増だったため、全体としての購入率の上昇に寄与した。

図表 用途別 購入率 2005~2021年
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』 (調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供



図表 性別 用途別 年間成長率(CAGR)2009-2021年
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』 (調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供


(3) 購入経路

購入経路は花店が主で76%。ネットは8%から16%へ倍増。本調査は規模が小さく(回答者520名)、サブスク利用者はまだ稀。

(4) 購入場面

購入シーンとしては、自宅装飾用が購入者の4割超を占める。

図表 購入場面 最近1年の花購入者 (複数回答、n=237)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』 (調査委託:ゲルダ・リサーチ)


性年齢別の購入率(全体で割り戻し)をみると、お供えや墓参り用は50代女性が最も多い(18%)。お供え用の花購入者は、2013年時点で、50代女性では32%あったが、2021年には2割を切った。その間、10年も経っていない。同じ期間に、20代女性では10%から「ゼロ」になった。このコーホートが年齢を重ねても、将来、かつての中高年世代のようには、お供え用の生花は購入しないかもしれない。
自宅の装飾用の花でも、女性では年齢が上の層ほど購入率が高い。男性では逆に20代の購入率が最も高く、男女差がほとんどない。

図表 購入場面 お供え用の購入 女性年齢別 2013-2021年 (n=各78)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』 (調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供



(5) 購入する「日」

購入日で見ると、購入者中、過半数が「母の日」、「愛妻の日」1.7%、「いい夫婦の日」の購入率は3.4%。

性年代別の購入日の特徴として、30代男性(全体)で「バレンタインデー」、40代男性(全体)で「ホワイトデー」が、それぞれ9.6%に達した。

伝統的な「日」の購入では、女性で世代差が目立つ。お正月の花は、50代女性23%に対し、20代女性では3%以下と8倍近く違う。伝統的需要では、40代以上は性差が顕著だが30代以下では薄れ、お正月では20代では男性の購入率の方が高い。

図表 購入する「日」 近1年間の花購入者 (複数回答、n=237)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



3 日持ち保証販売

(1) 家庭での花の管理

水替えは54%が実施。鮮度保持剤使用は10%(前年比3ポイント減)。

(2) 日持ち保証販売の認知率、利用率、利用意向

「日持ち保証販売」認知率は20%(5ポイント減)、利用経験者は7%(1.6ポイント減)。
利用意向は 35%で横ばいだが、今年の花購入者に限ると、過半数(53%)の人が日持ち保証販売を利用してみたいと答えた。

図表 日持ち保証販売 利用意向
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



4. 表示、認証、環境対応

(1) 環境ラベルの認知率・購入率

エコラベルの購入率はMPSが0.6%、リレーフレッシュネス0.6%。国連SDGsの認知率は57%、2年で4倍以上に。

図表 環境ラベルの認知率
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


(2) 表示の重視点

花の購入時に重視する表示について、全員に尋ねた。表示のないものは、あったと仮定して回答してもらった。 最多は、「品種」33%(2020年32%)。2番目が「どれも気にしない」34%、次いで「価格やプロモーション情報」29%、「花の特徴についての情報」20%と続く。「日持ち保証表示」は15%。
環境配慮や生産流通管理のような認証を重視する人は、2.5%と横ばいで、まだ少ない。認証は、消費者よりむしろ、取引の上で、取得されるケースもある。とはいえ、消費者や社会全体へのアピールを地道に行っていかなければ、生産者の認証取り組みへのモチベーションを下げてしまう恐れがある。

(3) 国産志向、栽培情報重視度

国産志向(37%)、環境への関心は減退。栽培の「温暖化への影響」を知りたい人は13%(3ポイント減)。

図表 国産志向 花 2017~2021年(n=520)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


農薬使用量を知りたいという人は、2000年代後半には野菜では8割に上っていたが、今はその半分になっており隔世の感がある。花は、野菜ほど関心の変動は激しくない。

図表 栽培情報へのニーズ(n=520)
花 2010~2021年
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野菜 2008~2021年
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)。2017年以前のデータはMPSジャパン提供



5. 観葉植物の購入・栽培実態、枯れおよび虫への反応(2021年度特別調査)

(1) 自宅用観葉植物の購入経験

自宅用観葉植物の購入経験者は、520名中208名。うち今年1年の購入者は63名)。自宅用購入は86%、プレゼント用は25%。

図表 観葉植物(インドアグリーン)の購入経験・購入意向(n = 520)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『観葉植物の顧客離脱を防ぐには』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


(2) 栽培実態

自宅用観葉植物の栽培鉢数は、ほとんど(9割弱)が5鉢以下。

置き場所は、「居間」が73%で圧倒的、次いで玄関18%、寝室11%。
育てている観葉植物の大きさ(高さ)は、過半数が20㎝未満(51%)。大きくなるほど少なくなり、1m以上では8%に満たない。

図表 育てている植物の大きさ(高さ) 自宅用購入者(n = 208)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『観葉植物の顧客離脱を防ぐには』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


(3) 枯らせた経験と購入意向

96%は枯らせた経験あり.半数は「ときどき枯らせた」。枯らせても、4割は再購入意向(「もう一度購入したい」)を持つ。「もう購入したくない」は1割に満たない。

ただし、再購入意向は枯らせた経験に応じて異なり、「よく枯らせた」人では24%にすぎず、「枯らせたことはない」人(67%)と開きがある。
栽培経験1年未満では「よく枯らせた」が3分の1(平均は21%)に達しており、経験の浅い人が栽培を諦めないよう工夫が必要である。

図表 枯らせた経験と購入意向「もう一度購入したい」人の割合 (n=208)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『観葉植物の顧客離脱を防ぐには』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(4) 満足する日持ち期間

観葉植物について、満足する日持ち期間を尋ねた(非購入者含む=520)ところ、1年程度以下で満足する人は、4割に満たない。8割以上の人が満足するには、1年以上の日持ちが必要。
また、そもそも「観葉植物は枯れないものだ」と考える人は、24%にのぼる。

(5) 虫への忌避感  

植物に興味がある人(439名)でも、64%は「虫は苦手」。「虫が出るなら買わない」は26%。性差が顕著で、女性では虫に忌避感を持つ人は、男性の1.5倍以上。

虫が出にくい「土壌」(21%)、や「土以外の土壌」(15%)には一定のニーズがある。
購入者の15%は「販売店に相談」としており、ケアの相談サービスの需要がありそうである。

購入経験に応じて、虫への拒否感の程度は異なる。虫が出るなら「買わない」と答えた人の割合は、最近1年間の購入者では 13%、過去の購入経験者では19%だが、見込客(購入経験はないが購入意向あり)では、3分の1にのぼる。

栽培経験を積んでも、虫への忌避感が薄らぐとは限らないが、たくさんの植物を育てる人では、「害虫以外」の虫への拒否感は和らぐ。虫は生物多様性の担い手でもある。忌避感を和らげるコミュニケーションも必要ではないかと思われる。

 図表 虫への態度と対応 植物に興味がない人を除く (n = 439)
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出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『観葉植物の顧客離脱を防ぐには』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


(5) 注意

観葉植物については、消費動向調査の分岐設問として尋ねており、回答者数が少ない(今年の自宅用購入者は63名)。回答者を増やし再検証することが望ましい。  

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引用例

出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2021)『花の消費動向 2021年』(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
出典:青木恭子(2021)『花の消費動向 2021年』国産花き生産流通強化推進協議会
Source: Aoki, Kyoko (2021) Flower Consumption in Japan 2021. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

本調査は、農林水産省の助成で実施された。
This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan.
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