花店利用者調査2022年~1.業態別の利用状況 Flower shop customer survey 2022: Purchasing behaviour and customer evaluations by business category Excerpt 1 purchase

5 minute read

Published:


「花店利用者調査」2022年版では、花・植物の小売に関わる9つの企業・業態の顧客(最近1年間利用者)を対象に、利用状況と評価を聞いた。要約と解説を順次、このサイトで公開していく.第1回目は、概要と利用実態についてポイントを紹介する。
購入用途は、全体平均では48%がホームユース、39%がプレゼント、お供え23%。花専門店では半数以上がギフト利用で、ブーケや生花が5割前後。スーパーはお供え用が4割で突出。
観葉植物や雑貨販売が多いのが、複合店(花・植物とカフェなど併設)とカインズ。青フラと生花店では、利用者の1割程度が、花瓶や鉢を購入している。
利用1回当たり購入金額は、全体平均2169円。スーパー868円。日比谷花壇は4566円で平均の倍以上。
日比谷花壇は「品質」(52%)、青フラは「立地」(56%)と「ついで買い」(45%)が上位の利用理由。複合店では「商品のかわいさ・きれいさ」が利用理由(38%)で、花店を凌ぐ。
花専門店では16%がロイヤルな固定客で、「必ず当店を利用」。スーパーは「必ず当店」は11%である一方、「10回のうち1回以下」(24%)が多く、選ばれる店になっていない。
日比谷、青フラ、複合店の顧客のうち、3割前後は花、植物に強い愛着を持つ(10段階で9~10)。こうした花好き、植物好きは、スーパー利用者では1割に過ぎない。
この調査は2020年のパイロット調査、2021年JCSI日本版顧客満足度生花店カスタム調査に続くもの。2022年にオリジナルの「花店利用者調査」として形にし、農林水産省の資金により、国産花き生産流通強化推進協議会が実施した(企画・分析 ゲルダ・リサーチ)。
なお、このサイトでは、過去の「顧客満足度調査」~「花店利用者調査」の紹介を随時掲載してあります。
This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.



●調査の目的
・花小売店の業態別利用状況と、利用者の評価を把握する。
・花店の顧客が重視するポイント別に、顧客評価への貢献度、底上げすべき点を明らかにする。
・花店はじめ、花の流通関係者にわかりやすい構成として、比較参照やベンチマーキングに役立ててもらえることを目指す。
・市場の花や植物について、生活者が抱く「エコ」イメージについても調べ、効果的な訴求へ向けてのヒントを探る。
・企業のランキング付は、調査の目的ではない。特定企業を取り上げるのは、ベンチマークの手がかりを示すためである。
・調査は、農林水産省の資金により、国産花き生産流通強化推進協議会が実施した(令和3年度持続的生産強化対策事業のうち「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」)。

引用について

基本的に自由。ご自身の責任でご活用ください。引用時は出典を記載 (このページの最後の引用例参照)

はじめに:調査の枠組み

(1) 概要

花・植物を扱う店で、過去1年に購入した人を対象に、購入実態と満足の度合について、多角的に尋ねた。
主な調査項目:利用状況、顧客満足関連指標、サービス品質項目評価、よい点、改善してほしい点。
対象企業・業態:花専門店、量販、ネット通販、複合店。
農林水産省の実証事業として、国産花き生産流通強化推進協議会が実施。
企画・調査設計・分析および報告:ゲルダ・リサーチ 青木恭子(国産花き生産流通強化推進協議会より委託) 。

(2) 実施方法

日時:2022年1月31日(月)~2月2日(水)
調査方法:インターネット・アンケート
回答者:日本国内の20~50代男女1005名、30000人にスクリーニング調査を行い、各企業・業態で、直近1年以内に花・植物を購入した人に対して、本調査への協力を依頼、マクロミルで実施
回答:1005サンプル(本調査)

図表 対象企業・業態 回答者数と属性

 企業・業態 回答者数 n構成比 %男:女 %平均年齢有配偶率 %
 全 体1005100.0%46:5440.358.9%
1日比谷花壇10310.2%47:5337.856.3%
2青フラ11010.9%36:6435.146.4%
3花専門店11411.3%39:6141.465.8%
4イオン11411.3%51:4940.364.0%
5スーパー11511.4%50:5042.052.2%
6カインズ11311.2%56:4440.572.6%
7ホームセンター11010.9%59:4141.754.5%
8通販、ネット11411.3%49:5142.657.0%
9複合店11211.1%31:6940.460.7%
注:いずれも、店舗内の生花売場での会計を伴う利用について尋ねている。
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)


平均年齢は40.3歳(回答者は20~50代であることに注意)。日比谷花壇と青フラは30代で、比較的若い世代の顧客を獲得。青フラ、複合店は女性利用者が多く、ホームセンターとカインズは男性が過半数。


(3) 設問項目

購入実態と満足の度合について、多角的に尋ねた。
● 利用経験(スクリーニング)
利用経験、不満、推奨度、自宅用切り花の許容価格、エコイメージ
● 利用状況
利用頻度、1回当たりの利用金額、用途、購入内容、花・植物への関与の度合(愛着度)
● 顧客満足(CS)関連指標
品質、価格対品質評価(コストパフォー マンス)、総合満足、情緒的充足、継続利用意向、共感度、推奨(口コミ)意向
● 花店利用時の重視点
サービス品質に関する項目別重視度、CSとの相関とポートフォリオ分析
● よい点、改善してほしい点
利用店についてよい点・優れている点、不満・改善してほしい点について自由回答のテキスト分析



1 利用状況

(1) 利用状況の要約

・利用頻度(最近1年間利用者): 年に1回が多い。日比谷花壇では「年12回以上」が5.8%(サブスク効果か)。
・用途:全体では48%が自宅装飾、39%がプレゼント、お供え23%。花店は半数以上がギフトで利用。
・購入内容:花店ではブーケや生花が5割前後。スーパーはお供え用が4割で突出。観葉植物や雑貨が多いのが、複合店とカインズ。青フラと生花店では、利用者の1割程度が、花瓶や鉢を購入。
・購入金額(最近1年間、1回当たり平均):全体平均2169円。スーパーのみ唯一1000円を下回り、868円。一方、日比谷花壇の1回当たり購入額は4566円で突出しており、平均の2倍以上。
・利用理由:日比谷は「品質」(52%)、青フラは「立地」(56%)と「ついで買い」(45%)が上位。「商品のかわいさ・きれいさ」という利用理由では、複合店(38%)が首位。
・当店利用割合:花専門店では16%が完全な固定客で、「必ず当店を利用」と答えている。スーパーは「必ず当店」は11%である一方、「今回初めて」(28%)と「10回のうち1回以下」(24%)で半数を占め、選ばれる店になっていない。
・花や植物への愛着度:日比谷、青フラ、複合店では、3割前後が花、植物に強い愛着を持つ(10段階でTOP2=9~10の愛着度)。こうした花好き、植物好きは、スーパー利用者では1割に過ぎない。平均ベースでみると、花、植物ともに、愛着度は複合店の利用者がもっとも高い。


(2) 購入頻度、用途、内容

最近1年の利用回数は「1回」という利用者が多い(全体で49%)。日比谷花壇では「年12回以上」が5.8%にのぼっており、サブスクが来店動機として機能したのではないかと推測される。
用途別では、48%が自宅装飾、39%がプレゼント、お供えも23%を占める。花専業の店では、半数以上がギフトで利用。
購入内容は、花店ではブーケや生花が5割前後。スーパーはお供え用が4割で突出している。観葉植物や雑貨が多いのが、複合店とカインズ。青フラと生花店では、利用者の1割程度が花瓶や鉢を購入している。

図表 利用用途

利用用途


図表 購入内容

購入内容全体 nブーケ、アレンジメントお供え・墓参り用生花その他生花苗物観葉植物鉢物ドライ プリザーブド・フラワー花瓶 鉢園芸用品土 肥料 栄養剤等資材雑貨その他
全 体100529.824.330.713.419.310.09.48.49.89.69.72.4
日比谷花壇103▲54.423.3▲49.513.620.412.6△16.56.86.86.84.91.0
青フラ110▲58.221.8▲49.1∵7.320.08.210.910.06.4▽3.68.20.9
花専門店114▲46.529.8△40.412.316.713.29.612.36.17.9▼2.60.0
イオン11425.423.737.7▼5.3∵12.3▽4.49.65.3∵4.4∵4.48.80.9
スーパー115▼14.8▲40.926.1∵7.8▽11.3▼2.6∵4.37.8▼2.6▽3.59.63.5
カインズ113▼7.124.8▽20.4▲27.4∴26.512.45.38.8▲23.9▲21.2△15.94.4
ホームセンター110▼8.223.6▼10.0▲28.219.112.7▼1.88.2▲25.5▲27.311.8△6.4
通販ネット11427.2▼12.3▼17.5▽6.115.88.87.95.3∵4.4▽2.69.64.4
複合店11228.617.927.713.4▲32.1∴15.2▲18.810.78.08.9∴15.20.0
注:いずれも、店舗内の生花売場での会計を伴う利用について尋ねている。
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



(3) 1回当たり平均利用金額

 最近1年間の1回当たり平均利用金額を尋ねた。全体平均は2169円。スーパーのみ唯一1000円を下回り、868円。
 日比谷花壇の1回当たり購入額は4566円で突出しており、平均の2倍以上。

図表 平均利用金額

 全体 n平均利用額(円)
 全体2,169
1日比谷花壇4,566
2青フラ2,797
3花専門店3,110
4イオン1,255
5スーパー868
6カインズ1,365
7ホームセンター1,160
8通販、ネット2,639
9複合店1,975
注:平均購入金額は、隣接する選択肢の金額帯の中央の値を階級値として計算している。たとえば、「~500円」は300円~500円の中間で「400円」、「~1000円」は750円。300円以下は150円、20000円以上は22500円とした。こうして階級値×該当者数を合計し、総額をnで割って算出した。
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(委託:ゲルダ・リサーチ)



図表 1回当たり利用額の分布

1回当たり利用額の分布



(4) 利用理由

日比谷は「品質」(52%)、青フラは「立地」(56%)と「ついで買い」(45%)が上位。「商品のかわいさ・きれいさ」という利用理由では、複合店(38%)が首位。

図表 利用理由(複数回答)

 項目全体日比谷花壇青フラ花専門店イオンスーパーカインズホームセンター通販ネット複合店
 全体 n1005103110114114115113110114112
1品質が優れている22.2▲52.4▲36.4△31.6▼12.3▼11.3∵15.0∵15.5▼8.819.6
2立地(アクセス)がよい37.835.0▲56.4∴45.641.240.936.3▲50.0▼2.633.0
3他の買い物の「ついで」に寄れる29.032.0▲44.532.528.935.733.628.2▼3.522.3
4手軽に利用できる29.827.230.031.630.731.333.629.135.1▼18.8
5近い22.022.323.6△29.819.3▲33.916.8△31.8n.a.20.5
6スタッフの対応がよい9.9▲21.4▲19.112.3▼2.6▽3.59.77.3∵4.49.8
7サービスが優れている6.8▲17.59.110.53.53.5▽1.84.56.15.4
8品揃えがよい18.6△27.221.824.6▼5.3▽11.320.418.220.219.6
9季節の花がある15.9▲27.2△23.6△23.7▽7.9∵9.611.511.811.417.9
10きれいな/かわいい商品がある20.8▲33.0▲34.5▲31.6▼8.8▼10.4▽13.3▼2.715.8▲38.4
11日持ちがいい6.2▲13.69.1▲13.22.62.64.42.74.43.6
12店で過ごす時間が心地よい6.8▲14.610.96.14.4▽1.75.32.7n.a.▲16.1
13よく知られた店・ブランド7.9▲23.3▲15.57.94.4▽1.76.2▼0.96.16.3
14コスパがよい10.46.8∵5.514.911.47.8△17.77.3∴15.86.3
15低価格9.44.9▽2.79.67.98.7△15.913.6∴14.95.4
16他に利用できる店がない3.54.91.80.92.64.34.43.65.33.6
17その他1.71.91.82.61.80.01.80.92.61.8
18特に理由はない16.7▼2.9▼4.5▼3.5▲30.7∴23.516.820.0△25.421.4
単位:%、複数回答
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)



(5) 当店利用割合

花や植物を購入する際、だいたい、どのくらいの割合で回答対象店を利用しているか、尋ねた。最近1年間に限らず、いままでの経験として答えてもらった。

花専門店は、10回中「半数(6~7回)以上、その店で買う」と答えた人の合計が、半数超。継続利用の傾向が強く、「いつも必ず」特定の店で買う人は、16%にのぼる。
通販・ネットは、「今回初めて利用」が4割。
複合店の当店利用割合は低めで、花や植物に関しては、ほとんどの人は時々利用する程度で、「いつもそこで買う」店というわけではない。

図表 当店利用割合

当店利用率



(6) 花や植物への愛着度

 日比谷、青フラ、複合店では、3割前後が花、植物に強い愛着を持つ(10段階で9~10の愛着度=TOP2)。こうした花好き、植物好きは、スーパー利用者では1割台に過ぎない。平均ベースでみると、花、植物ともに、愛着度は複合店の利用者がもっとも高い。

図表 花への愛着

 花への愛着度平均(点)TOP2の割合(%)
 全体 n6.423.2%
1日比谷花壇7.036.9%
2青フラ7.134.5%
3花専門店7.024.6%
4イオン5.814.0%
5スーパー5.413.0%
6カインズ6.523.0%
7ホームセンター6.015.5%
8通販、ネット6.019.3%
9複合店7.229.5%
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)


図表 植物への愛着

 植物への愛着度平均(点)TOP2の割合(%)
 全体 n6.422.5%
1日比谷花壇7.035.9%
2青フラ6.929.1%
3花専門店6.922.8%
4イオン5.815.8%
5スーパー5.410.4%
6カインズ6.624.8%
7ホームセンター6.318.2%
8通販、ネット6.117.5%
9複合店7.229.5%
出典:国産花き生産流通強化推進協議会(2022)「花店利用者調査」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)




引用例(以下は一例 どれでも可、形式は自由)

・出典:国産花き生産流通強化推進協議会「花店利用者調査 2022年」(調査委託:ゲルダ・リサーチ)
・出典:青木恭子(2022)「花店利用者調査」国産花き生産流通強化推進協議会
・Source: Aoki, Kyoko (2022) Flower shop customer survey 2022: Purchasing behaviour and customer evaluations by business category. Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement.

本調査は、農林水産省の助成で実施された。

This research was funded by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Japan, and conducted by the Council for Japanese Flower Production and Distribution Enhancement. Gerda Research was commissioned to do the survey.

花店利用者調査2022年_本文リンク_Link_full text
https://www.researchgate.net/profile/Kyoko-Aoki/research

免責事項 本報告書作成に当たっては、細心の注意を払って作業を行なっていますが、万一情報に誤りがあった場合でも、本団体及び著者は一切の責任を負いかねます。また、内容を読者がご利用あるいは引用されることにより、副次的に発生したトラブルや損失についても同様です。本サイトの内容は、予告なしに更新や削除されることがあります。ご了承ください。